悲しみから逃げる男。

私には孫がいる。テコンドーを習わしている。

毎週の土曜日、妻が生きている時は、2人で孫を連れて行き、練習を見ていた。

妻が亡くなってからは、私が送って行くと自分で決めていた。

娘が休みの時は、もちろん娘が送って行く。

しかし、妻を亡くしてから、初めて体験する、あの強烈な苦しみの

中にいる自分には、その悲しみから逃れる為に、遅くまで寝ていて

睡眠薬を使って、早く眠る事しか

出来なかった。

そこで娘は、弟の嫁さんに頼んだ。 O.K.してくれた。

良かった~、とてもじゃないけど

妻との思い出のある所になんか

行けない。そして妻が亡くなって

初めて弟の嫁さんに頼む時が来た

しかし、その前の晩に電話があり

生活のリズムが狂うからと、断ら

れた。あ~まずい事になって

しまった。孫を隣に乗せ涙を拭きながら運転した、妻が使っていた

車だ。ドアを開けた時から悲しみが、胸の奥から込み上げてくる。

練習場の駐車場には止められない

看板を見ただけでも泣けてくるから。近くのコンビニの駐車場に車を止めて、いつもだったら妻と2人で、練習を見ていてやったんだけど。練習場までは行けない、泣いてしまうから。その分、コンビニ

の駐車場で泣いた。

娘の弟の嫁さんは、専業主婦だから大丈夫だろうと、頼んでしまった事を反省した。

そうか、生活のリズムと言うのがあるんだよな。宮ちゃん生きて

たらと思い……。泣いた。