現成の仏陀

【死別の時】

死はとても悲しいものだ。

そして、切ないものだ。

生ある限り

生物は生き続けたいものだ。

人間とて同じ。

生き続けんとして

いつしか、病か老衰につかまり

死の使者に連れ去られる。

死は夫婦の仲を引き裂き

親子を会えなくしてしまう。

愛別離苦の苦しみを

頭では理解していても

やはり、ハラハラ、ハラハラと

涙は、とめどなく流れ落ちる。

身内への愛は

ほとんどが執着であると

教わっても

仏陀の言葉さえ、非情に響く。

この世の命が尽き

愛する人と別れるのは

苦しくも、切なく、哀しい。

わかっている。

そうであろう。

だが、人は死の下に平等なのだ。

来世での再会を

心の支えとせよ。…と

現成の仏陀は言うけれど。

もうやだよ、宮ちゃんのいない

生活なんて、苦しいだけで

辛いだけで。

生きている理由が分からない。

まるで、苦しむ為に生きている

だけじゃないか……。