何で居ないのよ…

私の前で妻が泣き崩れる…

「何で居ないのよ…」

そう言って嘆き悲しむ妻…

「私ひとり残して何で…」

しばくして妻は私の前から去っていく…

けど、振り向き泣き顔で私を見つめる妻…

私は、「ここにいるよ、辛いけど

頑張って…」


妻の悲しみを見るのは辛い…

痛いほど感じるんだ…

妻の苦しみを感じるんだ…


何とかしてやりたい…

妻の望みを叶えてやりたい…

でも、できないんだ…


「早く会いたいね…宮ちゃん…」

「頑張って…宮ちゃん…」


物置小屋の塗装は私を想像以上に

疲れさせた…

何の為にやってんのか…

結局やりがいのない事だと感じたんだ。


この疲れが私をへこまさた。

また来るな…

私は疲れきり私の心は妻を求めて…泣く…


前回の体験からして…これはまずいぞ

来る…私を落としに…


私は妻に心配をかけない事を誓ったはず…


外でタバコを吸いながら映像を観ていた…

それは逆の立場となったらどうなるのかと

言う映像…


それは、私の遺影を見て泣き崩れる妻の

姿…

この映像には心境も投影されていた…

これは…何なんだ…

辛い…私に会いたい妻の心の痛みが

伝わってくる…。


これで分かった…


残された者が悲しみに崩れ落ち、その

苦しみの心の痛みは、

先立った者も同じ苦しみを感じる…


この心の苦しみの痛みを妻に与えてしまっているのか…


妻には苦しみを与えたくないのに


私が会いたいと悲しめばその苦しみは

妻から見れば悲しく苦しく辛いものなのだ。


その苦しみの度合いは同じなんだ。


私は心を止めた。


私の心が苦しみに向かっている…


今回は前回の体験がある為に、即座に

心のコントロールはできた。


でも、まだ余韻は残ってはいるけど。


前回は抜け出すのに2日かかったが

今回は約6時間だった。


先立った者も残してきた者を心配するものなのだ。


大丈夫

俺は大丈夫だよ…宮ちゃん…





屋根の塗装は片腕立てふせしてるようなものでバテた。